melancholy youth

since 2016.6

12/11



先日都内に遊びに行っていた。久しぶりにライブのはしごをしようと思って朝早く着くバスで向かったのもありいつもより眠気がすごくて2つ目のライブ中最初の方で意識が飛びそうな感じになってしまった。無理は良くない、けど無理しなきゃ行けない場所もある。いやそこまで無理なことでは無いんだけれど...。

ライブ以外でも行こうと思っていた場所があって午前中のうちに向かうことに。下北沢のSTARRY...もといSHELTERに行くのだ。そう、あからさまに"ぼっち・ざ・ろっく!"の影響で...。いやそもそもそういうことで足を運びたかったわけじゃなく普通にライブを観に行くということで行きたい箱だったはずなのだが、タイミング合わずに今まで行けていなかった場所だった。思い返せば下北でライブを観たことは1回しか無かったしSHELTERじゃない場所だ。何かしらで今後は観に行こうと思う、というか確実に観に行くことになるであろうから内部にも入れることでしょう。しかしライブハウスが聖地化するのってどうなんだ...まあわざわざ行ってる奴が言えることではないが...。



ぼっち・ざ・ろっく!、かなり面白い。これまで幾つかきらら作品のアニメを観てきたけどトップクラスに好きな作品かもしれない。個人的にはけいおん!以上に必要としていたものなのでは?と思ってしまいそう...。
そんなことで感想やら個人的な諸々をしたためておきたくて。一応ガッツリとネタバレありです、ご留意を。尚且つ原作を読んでおらずメディアのインタビュー等を参考にしてはいないので見当違いの点も幾つかあるかとは思うのですが、いやでも想像や妄想なんてみんなするでしょ?ということで一つ。



1話冒頭から後藤ひとり、通称ぼっちの声色のバラエティ豊富さに笑いを堪えきれなくなる。虹夏ちゃんに"ギター弾けるの?"と聞かれた時の、"そこそこかと...。"の言い方とか本当に暗くて合わせる表情も負の感情のオンパレード。ネガティブだったりエゴな気持ち、早口になってしまったり話の盛りとか妄想想像空間の拡がり...日陰者であることをアニメ上で表現するとこんなにも面白くなるのかと感じ、そして共感してしまう。というより共感性羞恥心が刺激される。僕もそちら側の人間なので...。1歩ずつ成長(と後退?)を繰り返しそれでも自分を変えていこうとしている姿が話数を追うごとに描かれ、その根の芯は変わらずとも変化の様も垣間見える。

流れで他のキャラについても触れておこう。
虹夏ちゃん...ムードメーカーでありバンマス、ぼっちをバンドとライブハウスに引き込んだきっかけでもある存在。人当たりも当然良くてポジティブに受け止める。(SNS上でも1番人気があるような気がする、色々と...。)
思い返せば先駆者にも田井中律という存在が居たわけで印象が多少被る(同じくドラマーだ)。が、本人の背景が描かれる8話で印象が変わっていく。姉とSTARRYの為に懸命に生きる様、だからこそバンドをやりたい/続けたいという本人の意志を強く持っているところがグッと来る。

リョウ先輩...クールな印象を持たせながらも天然...で変人と言われている。過去にバンド経験がありながらも自分のやりたいことじゃないと辞めてしまったところにぼっち同様虹夏ちゃんに声をかけられる。結束バンドの作曲担当でもあり、ノリで"私は偉い、天才だ。"なんて自己肯定感マックスなことを言っていたりもするが、実際に天才肌の素養が溢れ出た人物なんだろうと思う。それでいて何処か抜けているところがあるけど、大事なところでキメてくるところや芯を突くようなことをスッと言えてしまう点とかはやっぱりクールなんだろうな...いやでもお金の借りパクはどうかと思うけど...雑草魂

喜多ちゃん...明るくて人に好かれるタイプ。溢れ出るキラキラとは裏腹にバンドをやっていたリョウ先輩に惹かれ憧れて勢いで2人のバンドに加入しつつも逃亡。。。後に巻き込まれ的に再度加入することに。最初はギターを弾くこともおぼつかなかったもののぼっちに教えられ持ち前の歌の上手さでフロントを担当することになる。これは中の人の声も相まってになるが、本人の普段の印象とのギャップでグッとカッコ良くキレのあるボーカルなのが良い点。ギャップという意味ではリョウ先輩に対する偏愛っぷりも...キターン!


話が面白いのは当然として、こういったキャラそれぞれの個性が溢れ出ていて、且つただ単に一面を表すのではなく人の表裏を感じさせる...というか明るさよりもネガティブさが軸となっているのがミソ。所謂"きらら作品"のアニメーションというと、これまでは女の子同士が何かを達成しようとすること、そしてそれを楽しんでいる姿、ワクワク、そして単純に観ているこちらのニヤニヤが止まらないといったような要素が多分に含まれていたが、この数年でその印象は変わっていくこととなる。ゲーム会社のでの奮闘、ビジネスの黒い部分もモチーフとした"NEW GAME!"、釣りをテーマにしながら死別や離婚/再婚から幕を開ける"スローループ"、弱小アイドルグループの再起を狙う"おちこぼれフルーツタルト"等がそれにあたるだろうか。勿論この諸作品にも前述の要素は含まれているわけなのだが、現実から目を逸らさない、そしてそれすらも直向きに乗り越えようとしている姿が描かれている。今回の"ぼっち・ざ・ろっく!"もそういった作品にあたるだろう。

(ちなみにその"スローループ"で結束バンドの面々が描かれたシーンが放映されていたらしい。当時観ていたものの完全に記憶から抜け落ちてしまっていたが。。。)


場を巻き込む、もしくは巻き込まれていくところから物語が展開するというのはかつての先立たちと同様のもので、たまたまギターを持って佇んでいたら声をかけられ初めてのバンド、初めてのライブハウス、初めてのライブへと繋がっていく。結果的にその"結束バンド"というある意味安直で、それでいてメンバー同士を繋ぎ止めるバンド名が指し示していく。
青春要素が散りばめられ、バンドって楽しい!という側面だけなら"けいおん!"でも描かれていたわけで、"ぼっち・ざ・ろっく!"の場合そういった青春や学校内での楽しい生活や10代の煌めきみたいなものは薄く、寧ろそれから逃れるようにギターに没頭していた後藤ひとりという人間性を色濃く表している。そのお陰でソロでのギタープレイは上手くなったわけなのだが...何かを手にする為には何かを手放さなければならないということなのだ。
それでも万有引力というか、主人公だから当たり前なのだが、ぼっちのその場に流され、行動を共にし、周りの人を助け助けられを繰り返していくうちに段々と自分のことを理解していく姿があまりにも眩い。独りだと、孤独だと思い込んでいただけで、周りには理解者が沢山居たんだと少しずつ自分のことを曝け出せるようになっていく...。普通に出来ること(これはあくまでコミュニケーション能力が高い人にとってはだが、)がようやく自分でも出来るようになるというのがどれだけ素晴らしいことなのかと。
バンドとしての苦悩も描かれる。人に合わせて歌詞を書かなければいけないのか、それとも自分の思いをぶちまけてしまっても良いのかと悩んだり、ライブをする為にオーディションに出演したり(ライブの為のオーディションというのは若干古めかしい表現な気もしたが)、勝ち取れた(まあ実際には最初から決まっていたんだけども、)ライブでも天候に恵まれない、尚且つアウェイな空気感の中での演奏を行う、等々、、、些細なことからバンドの危ぶみすらも感じさせるようなことまで色々と起こるが、それでも現状からどうにか逃れていきたい、と少しでも変えようと意地にでもかき鳴らした先のこういった演奏に痺れて鳥肌が出てくる。



ここのぼっちが格好良過ぎる。でもこのシーンの本当にスゴい点は、"あのバンド"演奏前の"ギターと孤独と蒼い惑星"の演奏なのだが、上手く噛み合わない演奏を表現しているところ。楽曲シーンは実際にプロの手により演奏を行なっているようなのだが、絶妙なテンポのずれ、トーンを外すリフ、変な緊張感と違和感が伝わるようなライブがその場で起こっているような表現がなされている、ということだ。現実世界のライブだって完全再現出来るバンドやアーティストは少ない方だとは思う。でも素人耳からすればほんのちょっとのミスならそこまで気にならないはずだし、そう感じても結果的にはあまり気にならないはずだ。むしろそのトチリを味に変えてしまうバンドもいる程だ。しかし、実際に明らかなミスリードやズレが起きた場合このように聴こえ、そして見えてしまうのではないか、という演奏の危険性を見事に表している。怖い程に。
...にしても"このバンド微妙じゃね?"、"ホント早く来て失敗だったわ〜。"とか敢えて聞こえるような声で言う人は今はほとんど居ないと思うのだが...仮にそう思ったとしても胸の内に秘めておくだろうし...知らないだけでこういうことを言ってる人は結構居るのか...? 演奏終了後の転換時や完全撤収の際にスタッフにアドバイスを受けることはあるだろうけど。

ここ数年バンドのドキュメンタリーが制作されることが増えてきている。バンドの変遷を描くそれと同様に、この作品は結束バンドの軌跡を幾つかの脚色と共に見届ける作品なんだなと思う。コミカルで、そして真剣な姿が映し出され1人1人にストーリーがあるのだと改めて思い出させられる。



バンドや設定のモチーフはASIAN KUNG-FU GENERATIONから来ている。後藤、山田、伊地知、喜多とメンバーの名字からの引用は勿論のこと1話ごとのタイトルが楽曲名から来ているのがニクいところ。

#1 転がるぼっち → 転がる岩、君に朝が降る

("ローリングストーン"という楽曲もあるけど多分こちらから来ているはず。)

#2 また明日 → それでは、また明日

#3 馳せサンズ → 長谷サンズ

#4 ジャンピングガール(ズ) → ダンシングガール / ボーイズ&ガールズ

#5 飛べない魚 → 飛べない魚

#6 八景 → 八景

#7 君の家まで → 君の街まで

#8 ぼっち・ざ・ろっく (セルフタイトル)

#9 江ノ島エスカー → 江ノ島エスカー

#10 アフターダークアフターダーク

#11 十二進法の夕景十二進法の夕景

#12 君に朝が降る → 転がる岩、君に朝が降る
ここに来てまさかの1話タイトル回収。告知画像見た瞬間まあまあ大きい声が出てしまった...。ということは本来の1話のタイトルには"、”が付くことになるのか。

こう考えると内容に沿ったタイトルであることが窺え、こんなにしっくり来るものはないと思わされてしまう。"転がる岩、君に朝が降る"の歌詞自体が最早"ぼっち・ざ・ろっく!"そのものを表していると言っても過言では無い。1番の歌詞では夢を見ながらもそうそう上手くいくわけじゃ無いと、諦めの念を感じさせるものだが、2番の歌詞以降では少しずつ自分自身への理解や周囲への気づきが窺えるものとなっている。

(こちらに12話及び全体についての感想を纏めた。ちょっと...上手く言葉に出来ない...。)


小ネタとして君の街までのMusic Videoオマージュが差し込まれていたり、1話冒頭の音楽番組のシーン、演奏楽曲のテイストもアジカン風味のサウンドだ (出てくる面々の風体はどちらかと言えばBUMP OF CHICKENっぽいが...)。その他にバンドオマージュという意味では次回予告時のライブのパスが出てくるシーンのBGMでのリズム感やギタードラムの響きはNUMBER GIRLの"NUM-AMI-DABUTZ"の冒頭を彷彿とさせられる。

その他STARRYに貼ってあるフライヤーやポスターも現存するバンドのものを引用している。全てを把握出来ていないので概要は避けるが是非細かいところまで観てみてほしい。
思うに、はまじあき先生は多感な時期にアジカン経由で所謂邦楽ロックにどっぷりハマっていたということなのだと思う。もしくはスタッフの中に同様の音楽を聴いていた層が居るという想像がつく。元々どういった経緯でアジカンを知り、彼らに陶酔していったのかまでは定かではないが、確実にその周辺を聴いていたであろう要素がアニメーションを観ているだけでも伝わってくる。後述するが楽曲提供してくれたバンドやアーティストの楽曲も確実に聴いているはずだ。

小ネタという意味では廣井きくりが現れる6話で、ストロングゼロを飲んで現実から目を逸らすミームや、薬物依存の悪循環テイストのオマージュがあったり、9話でぼっちが鳥にアイスを奪われおまけに苛められるシーンの後の倒れ方がドラゴンボールヤムチャの倒されたシーンからの引用だったりと、ネットで話題にされがちな画像のオマージュがそこかしこに現れるのも面白い点だ。


ぼっちの妄想空間上のシーンや細かな設定は毎回アニメスタッフが携わる以外に別のクリエイターによっても表現されていて、例えば、

(なんでもこの方は後にANORAK!のマーチのデザインも手掛けたらしい。どんな繋がりだ...。)

(音源はプロのミュージシャンによって手掛けられているが、リアルインディーズバンドの音源も劇中で使われているとは思わなかった。)

というように、アニメーションだけでなく、CGやクレイアニメのようなパートが差し込まれていて、現実的なリアルさと、アニメーション的フィクション、クリエイターとのコラボレーションと1つの作品を作り上げる上での熱量に圧倒されてしまう。



楽曲についても触れていこう。

全体的にダークトーン寄りというか、グッグッと盛り上がりはありながらもキャッチーさは抑え目で、それでいながらロックサウンドのカッコ良さを十二分に表す楽曲。所謂アニソンっぽさみたいなものは薄めなのがポイントか。サビラストの歌詞詰め込みパートは"リライト"、最後のダッダッ、ダッダッ、ダッダッの連打は"アフターダーク"風味があり、やはりここでもアジカン要素を入れてくるという強い拘りを制作陣からも感じさせる。
OP映像について気になっている点だが、きくりと店長らが現れるシーンのテイストがアジカンの諸作のアートワークを務める中村佑介さんライクなカラーリングになっているような気がする。ここで一瞬映るギターは"崩壊アンプリファー"のアートワークのギターからの引用だろう。その後のぼっちがSTARRYに向かう所でギターがくるくる回るシーンがあり、それはけいおん!オマージュだと思っていたのだけれど違うのだろうか? 詳しいところまではちょっと分からないが何となくそんな気がしただけかもしれない。
スタジオでの練習ではなくSTARRYにゲネプロ(ライブ前・ツアーに向かうバンドがライブハウスでの音作りを行う行為)をする為に向かうというコンセプトの映像なのも面白いと思ってしまった。

(※10話に出てくるSICK HACKの元ネタ何かな...つしまみれかなあ、いや赤い公園か? それとも八十八ヶ所巡礼かななどと思っていたら、あっこれ"仏滅トリシュナー"か!と今更気づくなど、、、カラーリングどうこうの件の部分はどうやら2:20〜のさば味噌シーンのオマージュだったらしい。というかSICK HACKの元ネタ自体が八十八ヶ所巡礼とのこと。結束バンドの面々同様名字がドラムスを除き廣井、清水と同様のものである。)


1~3話のエンディングを飾る"Distortion!!"、"青春コンプレックス"と打って変わり、冒頭の四つ打ちからアップテンポに、サビで転調して広がりながら盛り上げる展開を見せる楽曲。こちらはKANA-BOON谷口鮪氏が作詞作曲を手掛けている。何を隠そう彼やメンバーはアジカンを敬愛しているのだ。彼が大好きであったであろうあの頃のテイストに、"ギターヒーロー"であるところのぼっちをイメージするメタル調のリフやフレーズ、ピロピロの速弾きを織り交ぜつつ、1番最後のギターのギューン、ギャーンといった歪み等、weezer経由でアジカンが表現するパワーポップテイストを見事にオマージュしている。そしてそれは偶然にもweezerのメタル/ハードロックテイストの楽曲とも印象が被ってくる。自身のバンドでもアニメの主題歌を担当する彼が手掛ける珠玉の1曲ではないだろうか。


4~7話のエンディングを飾る"カラカラ"、いやちょっと待て...これ女子高生の楽曲じゃないだろ!と言わんばかりの変拍子とギターフレーズが矢継ぎ早に鳴らされるイントロから信号みたいなリフ、サラッとした印象に変わるクールなAメロに展開していく。今までの楽曲と印象が変わるこちらはベースのリョウ先輩が歌う楽曲で、作詞作曲をtricotの中嶋イッキュウ氏が手掛けている。そりゃこんだけ展開した上で変拍子を多用してフレーズも難解なのに最終的にポップなところに持ってこれるわけですわ。。。アニソンじゃなくて最早tricotの楽曲と言っても差し支えないようなサウンドメイク。歌い回しのクリアでクールな感覚もその印象を強める。Bメロ最後の"幼い心を明日に運ぶのさ"の"さっ"って歌い方がクールな中にちょっとだけ女の子感があるのも良い。


"ギターと孤独と蒼い惑星"...結束バンドとして最初に制作された楽曲。前述の通りぼっちが喜多ちゃんのイメージ通りに歌詞を書こうと苦悩しながらも上手いこと行かずに、そこから自分の思いをしたためた1曲でもある。認められたいという思い、捻くれながらもどうにもならない気持ちを表現した歌詞が突き刺す。"聞いて"という懇願から、"聴けよ"と強引に変換する部分が正にそうで、エゴと自然の合間で揺れている感じが堪らない。
しかしながらミックスと演奏がパンチ強過ぎて女子高生の楽曲じゃないのよ。。。という感じなのだが、イントロラスト歌入り前の2人のギターの絡みが微妙に絡みあっていない点や、フロアタムの主張強めなA~Bメロからサビで連打するドラム等、経験者が居ながらもまだ始まったばかりのバンドっぽさがあるのがミソだ。これを絶妙に表現出来てしまう製作陣に脱帽せざるを得ない。にしてもBメロの高音アルペジオとか普通思い付きますかね...?という...。

(※そのBメロの高音アルペジオパートをフォロワーの方がTheir / They're / Thereっぽいと言っていたのを見かけて笑ってしまった。言われてみれば確かにEvanやMatthewの手腕に近いところはあるなと。1:10~辺りからそれを聴くことが出来る。)


それで、これである。結束バンドとして劇中で2個目に制作された楽曲...なのだが、冒頭からギターの暴れっぷりとベースの細やかに動き回るフレーズ、決め打ちしたかのようなタム回しのドラムがドッと押し寄せ、4つ打ちビートに乗せながらキレのある歌声が響き渡る。自分と周りとのギャップに打ち拉がれながらも自分の好きを信じ抜くという歌詞にまたも撃ち抜かれる。
いやもうこれは結束バンドに9mm Parabellum Bulletが憑依してるんですよ。ぼっちは滝さんみたいなうわああって感じでギターかき鳴らしてそうだし、リョウ先輩はああいう風体からしなそうなのに急に咆哮してしまいそうだし、虹夏ちゃんのドラムは爆撃機みたいにタイムキープしながらも激しく打ち鳴らしてそうだ。拓郎さんのメロウな歌い回しも喜多ちゃんにかかればモノにしてしまいそうだし。


8話以降のエンディングを飾る"なにが悪い"、これまでの楽曲の中で1番ポップでキャッチーなメロディ。ボーカルをとる虹夏ちゃんの声やキュートさが全体に渡って伝わるような1曲。甘辛いメロディの日本式パワーポップテイストはサビ前のホールトーンでの転調でより色濃くなっていくわけだが、何となくそのサビがpeggiesっぽいなと思っていたら、何と作詞作曲がそのthe peggiesメンバーによるものとのことで...。どのエンディング曲もそうだがやはり作る人の手腕がその楽曲にも反映されるものだと実感させられる。
よく観たらこの映像ループ仕様になっているんですよね。エンディング映像はどの楽曲もキャラがデフォルメされていてモコモコの感じで可愛いのがまた良いところ。

今まで公開もしくは劇中で披露された楽曲を聴くだけでも、アジカンをベースにしながらもその音楽性はそこまで彼らに寄り過ぎず、多様に様変わりしているのが分かる。当然楽曲を担当するミュージシャン達の手腕によるものではあるのだが、メンバー、特に作曲担当のリョウ先輩が普段聴いているものや経験からインスパイアされたものと考えると、様々な音楽を昇華した上でのこういう作風なんだろうなと想像を膨らませてしまう。そういえばレコ屋で試聴しているシーンがあったが、あれはモナレコードなのだろうか?
※追記 このシーンはJETSET下北沢店の店内がモチーフらしい。

虹夏ちゃんが4話の写真撮影にて"エモエモなエモロックバンドになるぞ〜!"と言っていたが、音楽だけを切り取れば流行りの言葉通りの意味ではなく、その元となるemoに近いところはあるのかもしれない。マスロック~パワーポップを経由した音楽性を多少含んでいて、自身の弱さや環境から来るものを歌詞として書き上げているところはある意味現行のemo revival~midwest emoのバンドとも通ずるようにも感じる。まあこれはこじ付けだが、、、。

時代背景というものがこの作品に設定されているのかは分からないが、楽曲のテイストや作中のSNSの普及などを鑑みるに、2016年頃のイメージで出来上がっているのではないかなと予想している。明らかにけいおん!以降の世代であり、且つ音楽性的にアジカン残響レコード以降のライブハウス周りプラスメジャーなバンドの方向性も加味してのこと。制作陣のtricotやKANA-BOONthe peggies等が日の目を浴び始めたのも2013~14年頃だったはずだ。原作はどうやら2018年から連載されていたらしいし、あながち間違いではないのでは?とも思っている。

(結束バンドのアルバムについての考察・感想もこちらに纏めた。併せて是非。)


まさかこんなに1つのアニメについて文章を書くことになるとは思わなかった。というかこう書きたいと思ってしまったことに驚きなのだが、、、。出来るだけ丁寧に書き連ねてみたものの、上手いこと書き切れたのかは分からないが、是非ともチェックしてほしい作品だ。ここまで観た人は多分既にチェック済みではあると思うけれども。


余談ですが、

アニメ放映に先駆けWebラジオが配信されていた。この文章を書くにあたり、そういえば関連動画によく挙がっていたけど聴いてなかったなーと軽い気持ちで再生したらあまりにも面白過ぎてこの数日でめちゃくちゃ聴き進めている。とりあえずこの第1回を聴いてほしい。ぼっち役の青山吉能さんによるラジオで、他のキャラ役の声優が交代で参加するラジオなのだが、この第1回は青山さんのみでの回になる。この方がいかにぼっち役として抜擢されたのかという理由が丸裸になる回だ。本当にネットのオタクなんだなと、こちら側の人なんだなと、分かってしまう回である。ボソッとあまり宜しくないネットミームを言っていたり、"〜で泣いちゃった。"、"これは悪いツイッターだ。"、等今後の回でも言っているので気になった方はアニメの合間にでも聴いてみてほしい。


もう1つ余談ですが、、、

この飛来ボデー氏のイラストをたまたま見かけて、思わずうわっ!!と声が出てしまった。bloodthirsty butchersの"birdy"のジャケをパロディしたぼっちのイラスト。

他のパロディも描かれているが、Dinosaur Jr.やHUSKING BEE、はたまた先日解散してしまったGAUZEのTシャツ等もオマージュしていてこちらをくすぐるデザインを手掛けている。気になった方は是非ともこの方のメディア欄を遡ってみてほしい。


可愛い...。このアルバムはマンウィズのバンド名の由来の音源も入っていたんだっけか。


※追記
アニメに関わるイベントや配信での番組の表題もフェスやバンドに纏わるものが多く使われていたのでメモ。

"BOCCHI IN JAPAN" (Anime Japan 2022) → ROCK IN JAPAN

"BOCCHI STATION" (abema先行特番) → MUSIC STATION

"ぼっち・ざ・ろっく!#宇宙#日本#下北沢" (放送直前特番) →フィッシュマンズ "宇宙 日本 世田谷"

"京まふ大作戦" (京まふ2022) → 京都大作戦

"NUMBER BOCCHI" (KPF2022) → NUMBER GIRL / NUMBER SHOT

"COUNTDOWN BOCCHI" (abema最終回直前番組) → COUNTDOWN JAPAN