
今年も観て参りました、"LIVE STAGE ぼっち・ざ・ろっく!"。本来は3度観に行く予定でしたが、初日から3日間の公演が諸事情で中止になり、結果2回の観覧となりました。
まずは"Part II: 秀華祭"から。ガッツリネタバレしていきますのでご留意を。
14日の事実上の封切公演時に観劇しました。
"まえせつ"としてふたりちゃんが観客をセミに見立ててコール&レスポンスをして相変わらずメタ表現担当なんだなとニヤケつつ遂に開幕。...何だか最初から気づいたら涙がツーっと伝っていました。冒頭の前回のあらすじから大団円かのようなスタートで、また始まったんだな...という実感が湧いてきたからかもしれません。気付いてなかったのですが冒頭のダンスや曲のスタイルはドリフオマージュだったとのことで、確かに思い返すとそんなテイストの楽曲だったなと。
そこからは前回の続き、ということで9話から12話までアニメをなぞる様に展開していく。途中の大森未来衣劇場とでも呼べるような喜多ちゃんのミュージカル展開や、お目々の大きさを活かした"圧"のかけ方でニヤニヤしていました。
今回の目玉でもあった10話のSICK HACKのライブ。きくりさん役の月川さんが元々ベーシストとしても活動しているということもあり、その巧みなるベースプレイの片鱗は前回も顕現していましたが、志麻さんもイライザもそのキャラクター性の再現と、そしてそれぞれの演奏能力の高さに驚かされました。志麻役の未結奈さんもドラマーとして活動をしているとのことで、リズム隊の安定感は去ることながら、イライザ役の斉藤瑞季さんも楽しそうにテクニカルなギターを弾かれていました。
"ワタシダケユウレイ"のイントロのフレーズを聴いた時、この曲のイントロのことを思い出すなど。
なんとなくベースラインでdownyのことを思い出すなどもした。
(月川さんが在籍するCHAINZの先日出たばかりの新曲。爽やかなテイストにベースの低音が効いてくるサウンド。)
(CHAINZにも在籍するメンバーとやっているYABI×YABI。どうやらアニメの主題歌も手掛けていたらしい...。)
(というか月川さんはA-Sketch所属だったのか。元WEAVERのメンバーとflumpoolのメンバーのアレンジ/プロデュースによるソロ楽曲も出ていた。)
今回は舞台らしさを活かしたミュージカルテイストの歌や演出が前回よりも増えて、より演劇然としたものになっていたと思います。前回の舞台を何かしらで観たであろうという観客側への信頼の表れでしょうか。実際前回は原作やアニメの成分を濃く抽出して出来る限りの物事を舞台上で再現する、というものだったと思うのですが、PART IIでは話数が少なくなりより伸び伸びと演出が出来る様になっていたのかなと。舞台や演劇としての面白さをテーマの中で表現した、というのを感じることが出来ました。
場面転換を活かしたアレコレやちょっとした改変は前回同様で、新しいBGMも良いアクセントになっていました。前回公演のものも含めサウンドトラックが出てほしいなとずっと思っているのですがそろそろリリースされないでしょうか...。
文化祭での顛末。"星座になれたら"のギターの弦が切れるという描写はまもさん本人が弦を外す形で成り立たせていた。遠目だったので詳しくは把握出来なかったのですが普通の弦はそのままに、余分にすぐ取れるようの弦を準備していたのかなと。見やすいようにキラキラのラメ加工が付いていたようにも見えました。ステージダイブは階段からフワッと倒れるように変えていたので危険性は薄れていたように見えました。転倒の瞬間は人陰に隠れてしまったので見えなかったのですが...。
"転がる岩"のまもさん歌唱verが流れる中、(思っていたよりも淡白な感じで)あっさりと終幕を迎える。楽器屋のシーンがカットされていたからかもしれないですが。その後は例によってまもさんによるカーテンコールコーナー。相変わらずというかなんというか、本当に素のままの姿で飛び出してしまったかのようなその演説は、笑ける部分もありながらちょっと心配にも思えてしまう...。とはいえ昨年の公演を経てより"結束"している感じも見えて、やっぱりこの座組の相性の良さがあったんだろうなと感じる舞台でした。
印象的だったシーンの抜粋を。
喜多喜多 「誰ですかそのシワシワネームは?」 (前回公演の千秋楽アンコール部にて、きた〜? いくよ〜!の謎コール&レスポンスから、「私の名前は喜多喜多です。」と作中表現を先に小出ししていたのを彷彿とさせた。)
きくりさんとリョウ先輩がぼっちにお金を返す時の虹夏ちゃん 「あっ、新紙幣だ!」
メイド喫茶コーナーで世紀末的輩の代わりに前回に引き続きピーターピーターさん扮するタ◯さんが登場。
着替え尺を稼ぐ為の歌/ダンス。かつてこんな試みがあったのでしょうか…。
本編終了後はミニライブコーナー。1曲目はまさかの"小さな海"。劇中で使われることのなかった楽曲を舞台組のバンドで聴くことが出来るなんて...!と、とても嬉しく思いながら身体を軽く揺らしていました。
終了後にまもさんのところにマイクが置かれ、え...まさか...?と思った次の瞬間、カウントから先程BGMとして流れてきたあのフレーズが...! 聴こえてきた瞬間僕は口元を抑えながら崩れ落ちていました。"転がる岩、君に朝が降る"、劇中で流れてきた時点でここでは披露されないんだろうなと思っていただけにこの曲を聴くことが出来る嬉しさを深く深く噛み締めていました。作品にとって、後藤ひとりにとって、どれだけ大切な楽曲であるかというのを常々考えてはいましたが、それが自分自身にとっても本当に大事な楽曲になってしまったなと。
最後は下手打たない版の"星座になれたら"。ギターソロもしっかりと堪能させてくれました。
以降の公演では"青春コンプレックス"もやっていたと知人の談。
(ディレイ配信を見返していたところ、観た回でも青春コンプレックスをやっておりました…俺は何を観ていたんだ…。)
続いて"Part I: STARRY"編。こちらは再演の回で千秋楽となる23日お昼の公演にて観劇しました。こちらもネタバレしていきます。
基本的な構成はそのままに、1~8話までのあらましを繋げていくストーリー展開が繰り広げられていました。とはいえ新たなアドリブ、間の尺、セリフの変更等細かいところを含めると何十箇所の変化があったように思います。
以下が変化していた点のメモ。
星歌さんとの邂逅シーン、足首を掴んで「おち、お、お、おち、おちょ...」となるところで、「お前が落ち着けよ。」の後に、「危ないだろ...ヒールなんだ。」と細かいツッコミが追加されていた。
タ◯さんのシーンの尺が伸びている。階段下の謎スペースについての考察部が増えていた。例のコール&レスポンスで先に「いいとも〜!」と言ってしまうぼっちに「まだ早いまだ早い」と優しく諭す。
喜多ちゃんにギターを教えるシーン、アドリブっぽさは変わらずに尺が増えている。
ぼっち 「まっ、まずは...ギターの、スキルを...。」 喜多 「分かったわ!」からの決めポーズ。「...以上です。」 ぼっち 「こっ、これは...重症だっ...。」
承認欲求モンスターのシーンの際、動画を投稿するぼっちが、「最近は縦動画(ショート)が流行ってるよね、でもちゃんとした動画の方がいいよね。」と古からの文脈を知ってるかのトーンで言っていた(中の人の心情...?)。
店長への出演打診のシーン、ぼっち 「さよなら渋沢栄一...。」からの山田 「新紙幣。」 (新作再演共に新札ネタとは)
オーディションライブ後のぼっちに対する星歌さんの、「お前のこと、ちゃんと見てるからな。」が前回とは打って変わって柔らかく優しげなトーンに変わっていた (相変わらずその優しさに気づかないぼっちではあるが)。
きくりさんにお水や味噌汁を渡すシーン、ぼっちーずのリーダー格的存在(ピーターピーターさん)からお水等を貰い自分のものとしようとした瞬間に、「何してんの〜!!」と怒られる。びっくりしてドギマギしたぼっちに「いきなり大きな声出してごめんね?」とまたも優しく諭す。
バンドの成長において、印象をつける為のキノコ頭ボーイズのシーンで、結束バンドメンバーへの絡みが増えていた。特に女遊び担当メンバーが喜多ちゃんの肩を持つなどそれぞれのキャラ付けがなされていた。
ぼっちーず及び後藤父役に男性キャストが増えていたこともあり、腹切りショーのシーンや喜多ちゃんのキャラに沿った歌詞を書こうとしていた際の心情表現に於ける声色、動きに於いてとても変化があったように感じました。「イッキ、イッキ、イッキ...」の繰り返しの際の声が絶妙なトーンでジワジワとこみ上げてきそうなところを腹を殴られる描写でオチがついていました。
STARRYでのライブシーン、3曲披露するという名目の下、昨年公演では"青春コンプレックス"が3曲目に据えられていましたが、先日公開された劇場総集編"Re:Re:"に準えるようにあの楽曲をお披露目する。
喜多ちゃん「良かったら、一緒に盛り上がってください。...ドッペルゲンガー!」
それとなくやってくれるかも、ということを直前のYoutube生配信番組でも触れてはいましたが、まさか本当に合わせてくるなんて思いもしなかったわけで、本当に驚きでした。配信とCDのリリースからまだ1ヶ月程ですし、流石に先に音源を貰っていたであろうとはいえここまでのクオリティで仕上げてくるところには脱帽せざるを得ませんでした。上の喜多ちゃんのセリフの後に隣に座っていた海外から来たであろう方が「えっ?」と素で反応してたくらいですし。
微細な点から大きなものまで変化を見せながらも基本的な物語性はそのままで、オーディションと、台風ライブ前の転換の際に心がキュッとなってしまうのは前公演同様のものでした。これまでの観劇の中で1番近い位置ということもあり、その楽曲の音圧や演奏に圧倒されていました。
前公演時は"青春コンプレックス"のアレンジが流れながら最後のシーンへ移り行きましたが、今回は"ドッペルゲンガー"のアレンジが流れる中で最後の虹夏ちゃんとぼっちのやりとりへ。何回観てもここで涙腺が終わってしまうんですが、今回も御多分に漏れず。
最後のセリフのタメは思いの丈をぶちまけるための助走かのようで、こちらまでその気持ちに引っ張られてしまいます。
全員集合からの挨拶、そしてアンコール部となる"Distortion!!"へ。楽しそうに演奏する姿とその楽曲にこちらも乗せられていく。
カーテンコールでは恒例となっていた(らしい)他の出演陣へのまもさんのインタビュー(?)。今回はふたり役の津久井さんと、星歌さん役の河内さんに恐る恐る近づきながら話を聞いていました。
Part I/Part II共に2度のカーテンコールの挨拶で締め。
今回も圧巻の舞台でした。最初の3日間の公演が中止になってしまいどうなることかと思っておりましたが、無事に終了したとのことで本当に良かったと思います。
今年も舞台を観劇することが出来て本当に良かったです。昨年は配信は観ていながらも舞台自体が初めてくらいの経験だったので、どんな感じなのかというのも分からない手探りの状態での観劇だったのですが、今年は内容も把握していましたし、そこに更に新作と新たな部分が追加ということでたっぷり楽しむことが出来ました。
昨年の経験があるとはいえ、ここまでの舞台を2本と演者の方々による演奏が10曲近く披露されるということで、どれだけ詰め詰めだったことかと思うと本当に大変なことだったろうと思います。それでもここまでのものを作り上げてくるその熱量と努力具合には脱帽せざるを得ません。ただただ感動してしまいました。
またアニメ/原作チームとは違う空気感というか、直前の配信番組やカーテンコール時の面々の対応が良い意味でプロ過ぎない部分が諸所に感じられるのがウォッチャー側と距離が近い感覚があって、そこがいい部分にも思えました。勿論演者やスタッフとして作り上げるその舞台はプロとしての仕事をこなしているのは分かるのですが、それ以外のふとした瞬間の皆さんの表情とか、わちゃわちゃ感の垢抜けない感じとか、作品へのオタク具合が隠し切れてない演者の方がいたりと、そういったちょっとしたアレコレが微笑ましく見れる部分なのかなとも思いました。
今後舞台の新たな配信や円盤制作等も続いていくとのことで、今後もこちらの座組から目が離せそうにありません。もう既にまたやってほしい気持ちでいっぱいです。
#舞台ぼっち pic.twitter.com/Nva33JOqZT
— 守乃まも (@mmn_mamo) September 27, 2024
今年も守乃まもという逸材を観る機会が出来て良かった。幻、泡沫の夢等と昨年の観劇時は思ってしまったけれど、以降の円盤発売記念の配信や、筆者個人は行けなかったものの3月末にはこの名義でライブも開催していたとのことで、今後もゆっくり何かしらの動きをしてほしいと思う。
バイバイぼっち、たまには出てきてね。
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前回の感想(とアレコレ)。
august - melancholy youth