melancholy youth

since 2016.6

sinai vessel / Brokenlegged

f:id:melancholyyouth:20170517222847j:plain


Facebook

Twitter


1曲目のイントロで, もうこのアルバムはスゴいに決まってると確信出来るものって幾つあるんだろうか
人によってそれは様々だと思う
少なくとも, このsinai vesselのアルバムにおいて僕はそれを確信した
し, 実際に素晴らしいアルバムだったということも...


sinai vessel...2009年にボーカルギターのCalebのソロプロジェクトとしてスタートしたこのバン
現在までに2枚のアルバム, 1枚のEP, 1枚のスプリットをリリース

現在は
Caleb Corde
Daniel Hernandez
Joshua Herron の3人体制である...のだが, 残念ながら今月でCaleb以外の2人が脱退した

www.facebook.com

4年間の3ピースバンドとしての活動をひとまず終え, これからサポートメンバーを加えてソロとして活動していくらしい
(メンバーが加入するなどについてはまだ未定のようだ)


1月末にリリースされたこの"Brokenlegged"
2ndアルバムとなる今作は"脚が壊れてしまった"なんてタイトルだけれど, 実際Caleb以外の2人が脱退してリズム隊を失ったという意味では合っているのかもしれない (皮肉な話だけれど)

1曲目, "Looseleaf"
冒頭に言った通り, この楽曲のイントロが流れ始めた瞬間にこれはもの凄いアルバムになるぞと確信した
ギターのアルペジオから始まり, ストリングスが入ってくるというドラマチックな展開
そしてダブリングされたギターから, 一気にバンドサウンドへと昇華されていく...
もう思わずガッツポーズしてしまった

この1曲だけでこのアルバムの価値があるといっても過言ではないと思う
これでもう既にピークに達してしまったくらいの楽曲だ

"Dogs"
前作収録の"cats"と対になっている(であろう)楽曲
全体的に明るめなメロディかつアップテンポな展開は前作のモードをアップデートしたかのよう
後半のストリングスやキーボードのアレンジは何ともいえない切なさを漂わせ, 心をキュッと締め付けてくる

今回のアルバムは今まで以上にシリアスな作風だと言える
今までの作品でもシリアスだったり何処か少しばかり気だるげな面は見え隠れしていたものでもあるのだが, Tiny Enginesからのリリースということもあってかサウンドが洗練されよりその向きが浮き彫りになったのだと思える

でもただ単にシリアスな面だけが増幅したわけではなく, 前作のEPから4年という月日は彼らをバンドとしてかなり強固なものにさせた
きめ細やかで郷愁感を煽るようなメロディ, 力強くも繊細さも感じさせるドラミング (細やかなアプローチがとても光る)
今まで以上に声の伸びが良く, 心情に訴えかけてくるかのようなCalebのボーカル
ライブを重ね, バンドアンサンブルが強くなりそしてかなりの完成度まで仕上がっている (だからこそ今回の脱退は残念でならないのだが...)


2枚目にして大躍進を遂げた一作
8曲約31分という比較的コンパクトな作品だが, 彼らのサウンドを十二分に味わうことが出来ると思う
一見地味な雰囲気のアルバムかもしれないが, こういうアルバムこそずっと聴いていられるものなんじゃないだろうか
少なくとも僕はそう思っているし, そう信じている

骨を削って一度解体したsinai vessel
次はどのような骨組みで展望させてくれるのか...
今から既に楽しみで仕方がない


youtu.be